童貞

男が一番気にすること、親しい同級生同士で集まると盛り上がる話題、その一つに童貞か否かということがあるだろう。

 

童貞を卒業する1度目のビッグウェーブは中学3年だ。

中高一貫や男子校でない限り、中学の最高学年になると後輩の女子の羨望の対象となりうる。特に中学生の時期は男女ともに恋だの愛だのといったことに興味が出始める。また中学1、2年の男子は女子に比べて精神年齢が低くありがちで尚更中学3年生の先輩の男子が格好良く見える、そんな時期だ。

 

童貞卒業の2度目のウェーブは高校1年の夏以降〜高校2年の秋だ。

高校に上がると周囲の環境がまた一変し、それなりに同じような成熟度の人間が集まる。義務教育も終えてそこそこ自覚が芽生え出してきた夏以降急にカップルが増え始める。夏休み遊びたいのだろう。これが高校デビューなのだろう。高校2年の秋をすぎると流石に新規のカップルはできにくい。受験を控えているからだ。

 

童貞卒業の3度目のウェーブは大学入学時

これは言わずもがな大学デビューだ。高校までずっと童貞だったコンプレックスを自ら解き放ち性の魔物にジョブチェンジする最後のタイミングだ。

 

中学で卒業できる奴はそれなりに顔やスポーツの能力、コミュニケーション能力などそれなりにポテンシャルが高いやつだ。

高校では中学ではパッとしなかった奴がそれなりに頑張ってスキル磨いてきたやつだ。

大学で急にハッチャケて女漁りし出す奴は中高ずっとパッとしない奴でそこまで努力もせずに勢いばかりで突き進む。一番きつくて目も当てられない。

 

上記のタイミングを逃したらどうなるか。

“女とやりテェ〜”と常日頃思いながらそれなりに女子との関わりをずっと持とうと方向性を間違えども何かしら間違った努力をする中学生男子スピリット溢れた奴とそうではないやつに分かれる。

前者は揉まれに揉まれてボロボロになりながらも最適解をみつける。もしくはそういうやつを抱いてくれる女性が現れる。

ところが後者はなかなかに人間として厄介だ。上記に書いた全パターンの男を小馬鹿にしがちだ。自分の方が凄い、やろうとおもえばできる、億積まれてもそんな女抱かない、、、といったまぁ要するに僻みだ。これらを自分の中で正当化するために偶に湧き起こる中学生スピリットを飲み込み続けてきた結果、少しづつ性格が曲がり世間一般に対するルサンチマンが溜まっていくのだ。そうして溜まったルサンチマンSNS等で同じような人間に共感をもらって甘んじてしまう。そうした良い評価を周りから受けてしまうと「どんどん歪んだ視点持ってる俺カッケー」になってその童貞で歪んだ部分を愛し始めてしまう。こうなるととりかえしがつかない。稀に女性とそういう風になりそうになっても、自分の好きな自分の歪んだ部分が無くなりそうで怖くなるのだ。自分の「面白み」みたいなものの裏付け、周囲よりも劣っているからこそ吐けるルサンチマン、その裏付けが童貞に集約されているため、操が硬くなっていく。また、リアルでの周囲がどんどん彼女作り、、、としている中自分だけ取り残されたようになり焦るが、ここまで見逃し3振をしてしまうと9回の裏で逆転サヨナラホームランを打たねばならないと勝手に思い込んでさらに心理的なハードルを上げていってしまう。

ここまでくると終わりよ。自分自身がまさにそうだ。悲しいなぁ。

 

昨今童貞が増えているらしいが、やはりSNS、特にTwitterのせいであるところは大きいと思う。同じような思考の人間が集いやすい仮想空間でお互いの傷の舐め合いや、歪み度の天下一武道会をやっていたら楽しいのだ。そこが手近で楽なのだからそこに逃げていくに決まってる。