エロゲ「ものべの」 すみルート 感想

先々月の末くらいからエロゲのサブスクリプションのサービスである「Ooparts」(

https://oo.parts/)に課金し始めた。今なら月額1,000円で数々のタイトルがブラウザー上でプレイできる。

このブラウザー上というのがこのサービスのウリの一つで、アカウントにログインさえすればPCだけではなく携帯電話のブラウザーからでもプレイすることが可能なのだ。

 

 アリスソフトのゲームやONE~輝く季節~など、数本すでにやり終えちょっと満足してもう解約してもいいかなと思っていたところ、ふと目に入ったタイトルがあった。

 

それが「ものべの」だった。

 


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前からタイトルは何となく知ってはいたし、「まいてつ」で有名なLoseの作品だし、絵が綺麗だし女の子かわいいし、、まぁ惹かれる要素がたくさんあった。

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マジでかわいい。私はロリコンじゃない。

 

まぁ、正直な所エロシーン回収くらいできれば満足で、別にそんなシナリオに期待はしていなかった。

 

特に何かしらのゲーム性があるわけでもなく、選択肢もルート分岐の一か所だけで、ひたすら読み進めていくだけのゲームで一見すると退屈極まりないのだが、シナリオと美麗なグラフィック、可愛らしいキャラクター達、比較的快適なUIでそれらを補っている。

 

共通ルートの粗筋は

医大生の主人公「沢井透」とその妹「沢井夏葉」は人間と妖怪とが共存する山奥の集落、茂伸(ものべの)で生まれ育ったが、透の大学進学とともに生まれ故郷を発ち、犀玉(さいたま)で暮らしていた。

妹の夏葉が帰省を嫌がっていることで6年間も帰省できていなかったのだが、どういう訳かその夏は嫌がらずに帰省することができた。

幼馴染である隣人の「有島ありす」と家守妖怪の「赤赤熊のすみ」、昔から面倒みてくれた「大傘妖の飛車角」らと楽しく茂伸での生活を送っていたが、夏祭りに神事の舞を見て妹の夏葉の身体に異変が起きる。急成長をしては元の姿に戻るのを繰り返す身体になっていた。

急速な老化と若返りを繰り返して、自己認識のブレなどにより心身ともに不安定になっていく妹の夏葉を救うべく主人公は奔走する……

 

 

ゲームの構成として、メインヒロインは「赤赤熊のすみ」、「有島ありす」、「沢井夏葉」の3人で、すみのルートは妖怪やその集落を統べる巫女らと超自然的な力を以って、その集落の人らと協力してその病気の完治を目指す、という流れで、ありすのルートは集落で唯一の医者

であるありすの父親と医学的なアプローチから完治を目指す流れで、物語全体のトゥルーエンドにあたるのが夏葉のルートである。

 

夏葉のルートはまだ途中だが、すみのルートは終わったのでその感想を書いていきたいと思う。ネタバレしかない。

 

 

ある大きなテーマで構成されていた。「大人になるとはどういうことか」というものだ。

(ありすルートも半分以上やったのだが、キャラの性質上、物語の設定上すみや夏葉ルートに比べて目劣りしてしまうのは已む無し…)

 

精神的にはそこそこ成熟しているが肉体的には成長することのない「すみ」と、精神的には未熟だが肉体が急速に成長していってしまう「夏葉」との間での対比の構造が綺麗にしっかりと描かれており、それが大きな軸となって話が纏まっている。

その中で「大人になる」というのは単に肉体的に成長することではなく、かといって物分かりがよくなったり知識を詰め込んだりするような”頭でっかち”なものではなく、真の意味での精神的成長だ。

 

では、その真の意味での精神的成長に必要なものは何だろうか。

その答えは明確で「経験」である。(勿論、その経験からあらゆる教訓を自らのものとすることができるだけの知識などは多少は必要となるが)

 

この作品内で描かれる「経験」というのは主に「夏葉の身体の異変の解決に向けての奔走」と「すみとの結婚および出産、子育て」の2つだ。

 

大人は見た目ではなく、その人の経験等が精神の成長を促した先にある成熟した状態であり

前者の経験を経て、共依存の先には破滅しかなく、お互いが“自立”することで初めて本当に寄り添い合えるのだ、と言うことに気づく。(金八先生のかの有名な「人という字は〜」ということへのアンチテーゼ)

 

そうやって一段階大人になった彼らは結婚をして出産、育児をしていく。(ここからが追加シナリオ)

実際に母親になったすみは見た目こそ変わらないものの確実に“大人”になり成長を遂げたことが実際にプレイしているとその眼差しやセリフの端々に感じることができる。

誰かと結ばれ、子をなす事というのは否応なしに大人になることを求められる。妊娠、出産、育児というのはどうしてもその地域なり相手の家族なりに協力を申し出なくてはいけない。

後腐れなく他人に協力を頼む、という行為は簡単なようで実に難しい。自らが怠惰であれば他人を不快にさせるだけだし、かといって全て背負いこむと破滅に繋がる。“自立”をする、もしくはその裏でしっかりその責任を果たす覚悟がある、それらを周囲に認めてもらう。そのプロセスを経て初めて成し得ることだ。

 

結婚して、子供をもうけ、育てていく。そうやって古来より人間は自分がコミュニティの一員である事を意識し、そのコミュニティを守る事で自らの子を守る、ということを脈々と受け継いできたのだろうと思う。(それがいまだに色濃く受け継がれている田舎では特有の相互監視のような息苦しさがあり、そのような共生というのはこのようなデメリットも生んでしまうが)

 

サブカルに浸かった人同士の会話ではしばしばマイルドヤンキーのことを腐すことがあるが、自分にはできないその生き方を貫き、納得している彼ら彼女らの方がよっぽど“大人”であり、自らの方が達観した価値観持った“大人”であると自負して彼らを馬鹿にする自分達の方がよっぽど子供であることを自覚した上で一定のリスペクトを抱えつつ彼らへの羨望、嫉妬を吐き出さなくてはいけない、と強く思った。

 

一応、現段階でありすルートの追加シナリオまでやり切ったが、正直すみルートのスケールの大きさや胸熱な展開に比べたらどうしても劣っており、ご都合主義があまりにも目立つと言わざるを得ない出来ではあったが、最後の最後の「黄色いチューリップの花言葉、叶わぬ恋」それが二重に意味を持つ所と、そこに夏葉の目覚めの理由を持ってくる所、更に「ご開祖ちゃん」というそのシナリオだけにでてくる神様的キャラが人の心を映し出す鏡であることがヒロインの「ありす」の名前ともまたリンクするのがよく出来てるなぁ〜と言わざるを得なかったが、些か説明過多であり、そのせいで少し醒めてしまうのが残念でならなかった。

 

5月10日までワンコインの500円で全部入ったセットを購入することができる。

余裕があれば是非!(oopartsでもプレイできるが、私は買ってしまった…)

www.dlsite.com

 

ちなみに、ちなみにだが、全く実のない情報だが、最後まで読んでいただいたお礼を強いてするのであれば、「このゲーム、メインのシナリオとはまた別個にさらにエロシーンが大量にあって、登場する人型のものとならほぼ全員との絡みがあるので、どんな性癖の人でも大体カバーできるし、プレイも多岐にわたるので最高である」ということくらいしかない。。。これくらいのことしか御礼できないのが申し訳ない。

蛇足だが、私は「集落の端っこにあるデカい滝を守る蜘蛛の妖怪である滝女郎が人の姿になった状態で主人公を逆レイプする」サブのエロシーンが相当お好み焼きだった。ロリコンじゃないので。(本当はその滝女郎が作ったロリ人形2人と3Pするシーンでいつもは大人しい方にイジメられるとこが最高でした。すいません。)